山火事で大変なことになっている

連日熱波に見舞われ記録的な暑さが続いていたベイエリア。数日前の夜中、不安定な大気による大規模なサンダーストームが発生しました。
日本にいた頃に台風の直撃を何度も経験したことがありますが、それをはるかに凌ぐほどの突風と、物凄い閃光と雷鳴が一晩中続きました。翌朝明るくなって庭に出て見ると、直径20センチはあるかと言う木の枝が無残にも折れていて、嵐の凄まじさを物語っていました。





落雷が引き起こした大惨事



そして北カリフォルニアでは、この夜の落雷により発生した複数の山火事が、未曾有の大惨事を引き起こしています。

落雷からたった4日しか過ぎていませんが、現在カリフォルニア州内の560箇所で火災が発生していて、焼失面積は少なくとも771,000エーカー(神奈川県の総面積の約1.3倍)になり、さらに燃え広がっています。

なかでもベイエリアは、文字通り四方八方をそれぞれ異なる山火事に囲まれている状況です。

ベイエリアの北側、ナパ、ソノマ方面で起きている火災と、ベイエリアの東側、サンタクララ、アラメダ、スタニスラウス郡にまたがる広範囲で起きている火災は、カリフォルニア史上最大の規模と言われています。

さらに、我が家からほど近いサンタクルーズ・マウンテンでも、50000エーカーが焼失し、約65000の住人が避難を余儀なくされています。この辺りにはカリフォルニア最古の州立公園であるビックベイズン州立公園をはじめ、数々の自然保護区が点在しています。カリフォルニアの生態多様性を保全する上で大変重要な地域ですが、樹齢1000年から2500年を超えるレッドウッドが生い茂る原生林も、甚大な被害を受けているようです。



Randy Vazquez/MediaNews Group/The Mercury News via Getty Images


家から30分ほどのドライブで訪れることのできるサンタクルーズ・マウンテンの森には、ここに住んでからというもの、足繁く通っていました。地球上で最も背の高いレッドウッドの樹々、緑が滴るような原生林の濃密な空気、森を流れるいくつもの清流。私にとっては、慣れない異国での暮らしの中で、最もリフレッシュできる大切な場所でした。山間にある小さな街のお店の人たちとは顔なじみになり、いつもあたたかく迎えてもらったものです。そのうちの1人は、昨日店からできる限りの荷物を運び出し、戸締りをして、最後に「もう会えないかもしれないから建物にさよならを言って」街を出たそうです。




パンデミックのまっただ中で避難すること

前代未聞の同時多発的な山火事により、避難地域は広範囲に及んでいます。ベイエリアにも複数の避難所が設けらましたが、パンデミックの脅威は事態をより一層複雑にしています。

避難指示が出ているエリアのいくつかは、以前よりCovid-19の感染拡大が懸念されている地域と重なっています。そのため、避難所では社会的距離を保つことが難しいう理由から、ホテルやAirB&Bなどの民泊施設を避難先として選ぶ人が目立ちます。

サンタクルーズでは、観光やリゾートでの在宅勤務を目的として街を訪れている滞在者に、直ちに街を去るよう求めました。これは避難者のための滞在先を確保するためです。また、火の手を免れている市内の自然保護区が避難所として解放されていますが、そこでは、自前のキャンピングカーやテントで寝泊まりする避難者も多いようです。



山火事から避難するときに大事なこと

私たちが住むエリアはまだ避難命令は出ていませんが、風向きや火災の勢いによっては避難の対象となる可能性があり、念のため、準備を進めています。車のガソリンを満タンにし、パスポートや現金、貴重品などをまとめ、2,3日は屋外で過ごせるよう水や食料を準備しました。そのほか、山火事で避難ならではのポイントがあるようです。

・全ての窓とドアを締め、ロックを解除しておく
・カーテンを外し、窓の近くから可燃性の家具(ソファーなど)を離しておく
・煙の中でも消防士が見えるよう、部屋の電気をつけておく
・庭にある可燃性のものや、枯れ枝などを片付けておく
・消防士が使えるよう、屋外にある水道栓にはホースをつないでおく。また屋根に簡単に登れるよう、梯子などをかけておく

火事場で消防隊は、度々困難な選択に迫られるそうです。複数の家が燃えていて、その中からひとつしか助けることができない場合は、より「アクセスしやすい家」の方が選ばれるということ。山火事で生き延びるということは、なんともシビアですね。




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