コロナに負けないミュージシャンたち

全米でいち早くロックダウンに踏み切ったベイエリアの新型コロナウイルス感染者数は、4月初旬にピークを迎えたものの、以降は横ばいか緩やかな減少傾向にあります。
カリフォルニア州は5月頭をめどに活動制限の緩和を予定していますが、屋外の建設工事や造園、ゴルフなど、社会的距離を維持できる屋外活動に限定されるようです。
ワクチンの開発には年単位での期間が必要とされているため、今後1年以上は現在のような制限付きの生活が続くことを、諦観している人々が多いように感じます。

さて、そんなベイエリアで、ユニークな音楽活動を続けているアーティストがいます。
ザ シンガー&ザ ソングライター は、サンフランシスコをベースに活動するデュオ。
ベイエリアに外出禁止勧告が出されると、世界中の他のミュージシャンと同じように予定していたライブはことごとく中止となり、彼らは大きな打撃を受けます。途方にくれながらも、彼らは諦めませんでした。そして始めたのが ザ ソングモバイルという新しいスタイルの音楽活動です。


ザ ソングモバイルは、言うなれば、コンサートのデリバリーサービス。
ザ シンガー&ザ ソングライターのホームページからオンラインで申し込みを行うと、音響機材を積み込んだ車に乗った2人組が、あなたの自宅前までやってきてくれます。シェルター・イン・プレース令が定めている約2メートルの社会的距離を遵守するため、彼らが車から降りることはありません。その代わりに、彼らは車のトランクをステージにして、コンサートを始めます。招いた側は、2階のバルコニーや、フロントポーチ、窓を開け放した家の中から、彼らが奏でる音楽を楽しむことが出来るのです。




Songmobile のサービスをスタートさせてから約1ヶ月弱の間に、高齢と喘息のために外出できない80代の女性を含め、彼らは52回のモバイル・コンサートを行いました。

のちに、シェルター・イン・プレイス令がより厳しいものとなり、サンフランシスコ当局が違反者の取り締まりをスタートしました。これを受け、ソングモバイルの活動は休止せざるを得ませんでした。

それでも、彼らは今もなお音楽活動を続け、孤立する人々が音楽体験を共有出来るよう手助けを行なっています。Zoomを通したバーチャルプライベートコンサート。愛する人への「歌う電報」。彼らのクリエイティビティは決して枯れることがありません。

画像:https://www.thesingerandthesongwriter.com/



全世界の人々が困難な状況におかれていて、悲しいニュースがまるで止まない雨のように降り続く毎日。そんな中、人々が見せてくれる思いやりは雨をしのぐ傘で、人々のクリエイティビティは、まるで雨間に見える美しい陽射しのようですね。


記事を気に入ったら、下のバナーをクリックいただけると嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ


コメント