地元レストランのユニークな取り組み

シェルター・イン・プレース命令を受け、ベイエリアにあるレストランは営業スタイルの変更を余儀無くされました。デリバリーや持ち帰りでの提供のみOK、店内での飲食は一律に禁止されていますが、殆どのレストランが今も営業を続けています。

普段の食事を外食に頼る人々も多いベイエリア。N95マスクの息苦しさを我慢しながら厨房で働くシェフや、デリバリーに追われるスタッフの姿は、医療従事者に続き、私たちにヒーローの姿を思い起こさせます。利用者はテイクアウトを注文したり、将来使えるギフトカードを購入したり、あるいは寄付をしたりと、様々な形で馴染みのレストランとそこで働く従業員を支援しています。

一方、レストラン側も存続のための様々な策を打ち出しています。
私の住んでいる街のレストランが行った、ユニークな取り組みをご紹介しますね。


全米初のノータッチ・ドライブスルー食料品店

ロスガトスにある Flights は、アメリカン料理とカクテル、そしてスタッフのフレンドリーな対応が地元住民に人気のレストランです。

オーナーであるアレックス・ハルトは、ベイエリアに屋外退避勧告が出て以来、家族のために何度もスーパーに足を運びましたが、目当てのものを手に入れることができませんでした。そこで彼は考えました。どうしたら自分の家族にも、そして自分の従業員にも、十分な食料を届けることができるのだろうか?

その答えが、全米初の「ノータッチ・ドライブスルー 食料品店」の誕生だったのです。





早速ドライブスルー食料品店を利用してみた

この画期的なサービスを利用すべく、我が家も早速店を訪ねてみました。

外の駐車場には簡易テントが貼られ、メニューと商品見本が並べられています。待機しているスタッフに車のガラス越しにオーダーを伝え、PayPal(ペイパル)やVemmo(ベンモー)などの送金アプリを通して支払いを行います。あとは、スタッフが車のトランクに商品を積み込んでくれるのを運転席で待つだけです。最初から最後まで、物理的接触はもちろん、6フィート(1.8メートル)のソーシャル・ディスタンスを超えて誰かと近づくことは一切ありませんでした。





牛乳や卵、鶏肉、野菜のセットなどの食料品の他、今では貴重となったトイレットペーパー、普段レストランで提供している調理済みのメニューも購入することが出来ます。仕入れは、地元の生産者や卸売業者を通じて行っているそうです。



特筆すべきは、自分のレストランのメニューだけでなく、近隣の同業者、ビール醸造やワイナリー、ピザ屋、ケーキ屋などの商品も取り扱っていること。
レストランのオーナーは、このビジネスモデルを他のレストランも採用し、損失を回復し、従業員とコミュニティの助けになることを望んでいる、とメディアに語りました。



循環型ファンドレイジングでコミュニティを救う

このレストランのオーナーは、さらに新しい取り組みをスタートしました。
ロスガトスの商工会議所の前会長であった彼は、他のメンバーと協力し、コミュニティ主導の募金活動 #FeedTheNeedBayArea を立ち上げたのです。



住民は、アメリカで一般的なクラウドファンディングプラットフォーム、GoFundMe(ゴーファンドミー)を通じて、ひと口10ドルから寄付を行います。
寄付の助けを借りて、ロスガトスの近隣レストランは、地元の病院の医療従事者や、外出が困難な高齢者、低所得者に食事を提供します。レストランは定額で食事を用意することで、従業員の雇用を維持できます。また、医療機関や社会的弱者をサポートすることによって、住民は、地域医療の崩壊やコミュニティ内の感染拡大を回避することができるのです。

地元病院で働く医師や看護師の元に、あたたかい食事が届けられた。
出典:#FeedTheNeedBayArea


住民が、医療施設や非営利団体に直接寄付することは簡単ですが、寄付金の通過点を増やし、こうしてコミュニティ内でお金を循環させることで、より多くの人に、よりたくさんの利益が還元されます。

将来の見通しが全くたたず不安だらけの現在、ともすると利益を独占することで生き残りを図ろうとしがちです。けれど、消費者と事業者が密接に絡み合うコミュニティのなかでは、互いが協力して利益を循環させ、共存共栄の道を模索することが、生き抜くための大きな鍵なのかもしれませんね。

#FeedTheNeedBayArea
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