コロナウイルス ベイエリアの今

参照 https://www.sfchronicle.com/

ベイエリア 現在の様子

私が生活しているベイエリア(サンフランシスコ、オークランド、サンノゼを含むサンフランシスコ湾沿岸地域)では、3月11日の時点で108人の感染者が確認されています。ベイエリアの人口は760万人。東京都(人口927万人)の同日の感染者数は73人とされていますから、人口あたり感染者の数と言う観点では、ベイエリアの状況はより深刻だと言わざるを得ません。

先週あたりからベイエリアの各カウンティが対策予防のガイドラインを発表し、大規模集会の禁止や高齢者や基礎疾患のある人の自宅待機を呼びかけてきました。
行政に先駆けて対策を打ち出したのはシリコンバレーのIT業界で、リモートワークの推進や会議の中止を進めてきました。さらに、世界規模で開催されるカンファレンスを次々に中止したことで、ベイエリアの経済は大打撃を受けています。
ホテルやレストラン、駐車場は稼働率が著しく下がり、事態は2001年の911後よりも深刻だと言われています。予算の多くを事業税に頼っているサンフランシスコ市は、連邦政府の金利引き下げで金利収入が大幅に減ったことが追い討ちとなり、深刻な財政危機に陥ることが予想されています。
一方、コロナウイルスの影響を受ける住民や企業を支援する法律の策定も進んでいます。サンフランシスコ市は、家賃不払いによる立ち退きを禁止することを発表。さらに中小企業への家賃補助の基金創立が提案されています。

コロナウイルスに感染したホームレスを隔離するために準備されたRV車
参照 https://www.sfchronicle.com/

学校の対応

日本で是非が問われた全国一斉休校措置。ベイエリアでは、スタンフォード、UCバークレーなど大学を中心にクラスのキャンセルが進んでいます。一方公立の小中高では、学校の閉鎖を求める声が保護者やコミュニティから上がっているにも関わらず、生徒や近親者に感染者が出た場合をのぞいては、基本的に休校の措置は取られていません。

その理由としては、
1.多くの家庭が、定期的な食事や育児など、基本的なニーズを学校やスタッフに依存している(アメリカの学校では、貧困家庭の子供に対し、朝食と昼食が無償で提供されます)。
2.学校が閉まると、子供たちの世話を親や祖父母が行うことになる。学校閉鎖は潜在的な労働力不足につながり、COVID-19への医療システムの対応を鈍らせる可能性がある。
3.ハイリスク群である高齢の祖父母が子供の世話をすることで、感染が拡大する可能性がある。

政府や自治体が何らかの発表を行うと、遅くとも1時間以内には、息子が通うミドルスクールの校長から学校の見解と具体的な対策を示したメールが保護者に届きます。そのスピード感と合理的で理路整然としたプロトコルは何よりの安心感をもたらしてくれます。事態が悪化した場合でも、あらかじめ取るべき対策が示されているので、慌てることがありません。おかげで私たち保護者も、今のところは安心して子どもを学校に送り出すことが出来ています。


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アメリカの「強さ」


本日、コロナウイルス対策に関するトランプ大統領の演説がありました。イギリスを除くヨーロッパからの渡航を30日間停止する、という大胆な措置には驚きましたが、さらに印象に残ったのは演説の最後の部分です。

米国よりも準備が整っている国や、回復力のある国はありません。私たちは世界中で最高の経済、最先端のヘルスケア、そして最も才能のある医師、科学者、研究者を擁しています。私たちは皆一緒にいます。(中略) 歴史がなんども証明しているように、アメリカ人は常に挑戦に立ち向かい、逆境を克服しています。私たちの未来は、誰も想像できないほど明るいままです。思いやりと愛を持って行動し、病人を癒し、困っている人たちの世話をし、仲間の市民を助け、この困難から抜け出して今まで以上にひとつになるのです。あなたに神の祝福を、アメリカに神の祝福を!



政策や人柄については疑問の多い大統領ですが、誰もが皆不安なこのタイミングにおいて、国民に安心感と勇気を与える力強いスピーチだなと思いました(もちろん本人が書いたのではないでしょうけど)

メディアはともかく、アメリカのパブリックコメントは当初から一貫していて「コロナウイルスは一部を除き恐るるに足りず、アメリカは十分な準備がある」です。そのせいか、日本より遥かに早いスピードで感染者数が増加しているにも関わらず、目立ったパニックが起きていないように感じられます。
感染後の自宅隔離生活に備えて日常品の買いだめをする人も増えて、週末などは、スーパマーケットのトイレットペーパーやパスタの棚が空になりますが、数日後にはいつも通り補充されます。サンフランシスコのような観光地は特別ですが、街中を歩いていても、人が減ったような印象は特にありません。マスクをしている人よりAirpodsをつけている人を見つける方がはるかに簡単なほどです。

感染拡大で人命が失われるのが怖いのはもちろんですが、未知のウイルスにより引き起こされる世界の分断や人々の偏見の方が、同じかそれ以上、人々の暮らしに影を落とすような気がしてなりません。どんな状況になっても、冷静さと穏やかさを無くさずにいたいものですね。



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