アメリカの若者の「勘違い」



今年は色々なことにチャレンジする年にしたいという思いがあり、年明けからアダルトエデュケーションスクールに通っています。クラスのテーマは、ズバリ「英語が母国語でない人がベイエリアで働くためのスキルを身につける」。授業についていくのは大変ですが、出自も世代も違うクラスメイトと過ごす時間はとても刺激的で、かけがえのない時間を過ごしています。

さて、先日のクラスでこんなクイズを行いました。


1. これらのうち、人口の過半数がイスラム教徒なのはどこの国ですか?
a)南アフリカ
b)アルメニア
c)インド
d)インドネシア

2.これらのうち、世界中で最も多くの人が第一言語として話しているのはどの言語ですか?
a)ロシア語
b)中国語
c)英語
d)アラビア語

3.製品とサービスの合計金額に基づいた米国の最大の貿易相手国はどこですか?
a)カナダ
b)中国
c)メキシコ
d)サウジアラビア

4.米国連邦予算のおよそ何パーセントが対外援助に費やされていますか?
a1パーセント
b5パーセント
c12パーセント
d30パーセント
e40パーセント

5.これらのうち、攻撃を受けた際に米国が防衛する義務があるのはどこの国ですか?(該当するものをすべて選択)
a)カナダ
b)中国
c)日本
d)メキシコ
e)北朝鮮
f)ロシア
g)韓国
h)トルコ

6.過去5年間、米国を出てメキシコに戻るメキシコ人の数は、米国に入国するメキシコ人の数よりも多い。これは正しいか、正しくないか?

引用元:"What College-Aged Students Know About the World" 

https://www.cfr.org/global-literacy-survey


*答え(カッコの中の数字は正解率です)
1. d (29 percent)
2. b (49 percent)
3. a (10 percent)
4. a (12 percent)
5. a (47 percent), c (28 percent), g (34 percent), h (14 percent)
6. True (34 percent)

衝撃的な回答結果

このクイズは、2016年に外交問題評議会(Council on Foreign Relations、略称CRF)と、ナショナルジオグラフィックが行った、グローバル・リテラシーに関する調査から一部を抜粋したものです。調査は、二年制もしくは四年制の大学に在籍中か、最近まで在籍していた26歳までのアメリカ国籍の男女を対象に行われました。

質問2の「世界中で最も多くの人が第一言語として話しているのはどの言語ですか?」という問いに対して、正解の中国語を選んだ回答者は49%で、44%は英語を選びました。
質問3の米国の最大貿易相手国に関する質問では、正答率はわずか10%(カナダ)。71%の回答者が中国を選びました。
質問6の「過去5年間でアメリカを去るメキシコ人の数は、アメリカに入国するメキシコ人の数を上回る」という問いの答えは「正しい」ですが、実に半数近くの回答者が「正しくない」と答えていました。

調査にあった全ての質問の2/3以上に正しく答えられた回答者の割合は29%。9割以上に正解した回答者はなんとたったの1%でした。
正確な地理的理解を持ち、世界におけるアメリカの役割を正しく認識している若者がいかに少ないか、という衝撃的な結果でした。

その他、アメリカの若者の「勘違い」を象徴する回答は以下の通り。



戦争開始を宣言する権限は立法府にあるが、
49%の回答者が大統領がその権限を持っていると答えた



中東地域の地図の中から、イスラエルの正しい場所を選べたのはたったの31%
図の引用元:"What College-Aged Students Know About the World" 
https://www.cfr.org/global-literacy-survey



誤った知識は誤った政治判断を招きます。この調査が行われた2016年秋にトランプ大統領が初当選していることを考えると、「アメリカ人の勘違い」が世界に及ぼした影響の大きさに恐怖を感じずにはいられません。



事実に基づき世界を正しく見ることの大切さ


昨年大ベストセラーとなった「ファクトフルネス」では、現在多くの人が何十年も前のデータに基づいて世界を認識していると言います。私たちが誤った見方で世界を見てしまうのは、私たちが知識のアップデートを怠ったからというよりも、人間の本能や思い込みによるところが多いというのがこの本の趣旨です。




物事をたった2つに分けて理解しようとする「分断本能」、良いニュースより悪いニュースの方に注目してしまう「ネガティブ本能」、複雑な問題を1つの原因と1つの答えに集約してしまう「単純化本能」など、私たちの認識を歪めてしまう人間の本能がわかりやすく説明されています。

目まぐるしく変わる世界を生き抜いていくためにも、自分の考え方や物の見方のブラッシュアップを、いつも怠らないでいきたいものですね。

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