アメリカ 山火事の恐ろしさ


カリフォルニアへ来て衝撃をうけたことのひとつが「山火事シーズン」の存在。日本で毎年夏から秋にかけて台風の襲来があるように、カリフォルニアでは毎年あちこちで山火事が発生するのです。
はじめて体験した山火事の恐ろしさをお話ししたいと思います。




11月初め、北カリフォルニア北部山間部の町パラダイスで発生した「キャンプ・ファイア」と呼ばれる山火事は、カリフォルニア史上最悪の規模と言われています。発生から10日以上たった時点で、死者76名/行方不明者1,276名、焼失面積は149,000エーカー(約600㎢/東京23区は626.70㎢)。未だ鎮火には至らず、被害は拡大する一方です。








「地獄」と表現される火災現場




火事が発生した日の早朝の緊迫した様子を、ナショナルジオグラフィック日本版のオンラインサイトで読むことができます。



破壊された"パラダイス"
パラダイスの町では、複数の住民が屋根に降り注ぐ火花の音で目を覚ました。住民たちは車に乗り込み、避難を試みたが、炎と煙に視界を遮られ、ほかの車と衝突する人や土手に乗り上げる人が続出した。生存者たちは「地獄の門が開かれた」、「目の前に黒と赤の世界が広がっていた」など、聖書のような言葉で恐怖を表現している。 スコット・マクリーン氏は午前8時ごろ、パラダイスに到着した。炎はすでに町の南側をのみ込んでいた。マクリーン氏はカリフォルニア州森林保護防火局で21年働くベテラン消防士で、2014年から広報主任を務めている。それでも、マクリーン氏は目の前の光景に驚いた。そして11日、その光景を「地獄」という一言で表現した。 道路は大破した車や乗り捨てられた車でふさがれていたと、マクリーン氏は振り返る。辺り一面が炎、煙、がれきだった。マクリーン氏は時間をはっきり覚えていないと前置きした上で、午前9時ごろ、空が煙に覆われ、夜のように暗くなったと話している。安全な避難ルートを探すため、車を走らせていたとき、マクリーン氏は誰もいない道路で1人の高齢女性に出会った。女性は車椅子に乗り、混乱の中を懸命に進んでいたという。 消防隊はしばらく人命救助のみを行った。強風の中、炎はあちこちに燃え広がり、封じ込める手だてがなかったためだ。
(出典:ナショナルジオグラフィック日本版サイト最悪の山火事は、いかにカリフォルニアを襲ったか)








火災の原因は送電線トラブルと「悪魔の風」




火事の原因はまだ明らかになっていませんが、電力会社PG&Eの送電線トラブルによるものではないかと推測されています。また、ここまで被害が拡大した原因の一つに、毎年この時期ベイエリアに発生する局地風、「ディアブロウィンド (悪魔の風)」の存在があげられます。
ロッキー山脈とシエラネバダ山脈の間にある盆地で発生した風が、山を越えてベイエリアに吹き込む際にフェーン現象を起こし、ベイエリアに極度の高温と乾燥をもたらすのです。




ディアブロウィンドとは
出典:San Francisco Chronicle








世界でも最悪レベルの大気汚染




今回の火事がもたらした大気汚染は深刻な状況で、今やベイエリアはインドや中国を超え、世界最悪の汚染指数であると言われています。火災発生地に近いサンフランシスコでは、健康被害に対する懸念から、休校や屋外イベントの中止などの措置が取られています。煙のせいで昼間でも薄暗い街中には、N95マスクを着けた人々が不安げな表情で歩いていて、ものものしい雰囲気です。とりわけ、乳幼児や妊婦、そして心臓や呼吸器疾患を持つ人は特に注意が必要で、空気清浄機の設置や、安全な環境への退避が呼びかけられています。

サンフランシスコの日刊紙では、不安な市民の声が取り上げられています。
喘息を持つ5歳の息子のために3台の清浄機を設置したものの改善がみられず、バークレー市内からの非難を検討している家族の話や、カリフォルニア南部までの長距離を車で避難する家族の話を読むと、我が家も他人事とは思えませんでした。




ベイエリアの大気汚染
(出典:AirNow







そんな状況が続く中、昨日はついに我が家から30キロの地点で山火事が発生しました。幸い、発生後1日で鎮火し大事には至らなかったものの、家の中まで充満する焦げ臭い匂いに、今までに感じたことのない緊張感を覚えました。

家族や友人を失い、家どころか住んでいた街まで、何もかもを失くしてしまった人々の姿を連日の報道で見ると、胸が潰れる思いです。1日も早く鎮火し事態が収束するよう、雨が降ることを祈ってやみません。







記事を気に入ったら、下のバナーをクリックいただけると嬉しいです。
にほんブログ村 海外生活ブログ サンフランシスコ・ベイエリア情報へ


コメント