家探し:アメリカでの家探しは学校探し





衣食住とはよく言ったもので、アメリカについてまず最初のミッションは、住む家を探すことですが、特に学童期の子供がいる場合、アメリカでの不動産選びの基準は日本のそれとは大きく異なります。地域よりも通勤時間よりも「良い学校があるかどうか」。これに尽きると言っても過言ではありませんでした。

 


アメリカの教育現場における格差社会


[caption id="attachment_230" align="alignnone" width="788"]Grate school rating https://www.greatschools.org より引用[/caption]

上記の表は、サンタ・クララの小学校の所在地一覧です。吹き出しの中にある数字は、全米で行われる統一試験の結果を1点〜10点までのスコアで表しています(点数の高い方が良いスコア)。駐在で来ている日本人生徒なら、レーティングが8〜10の学校ならまず安心。6、7も許容範囲だけれど、5以下は避けたほうが良い。不動産屋さんにはそうアドバイスされました。

日本の感覚だと「義務教育の学校ならどこでも似たようなものじゃないの?」と思われるのではないでしょうか。

日本では全国で統一された義務教育が実施されていますが、アメリカでは地方自治が重視されているため、各州政府が公教育の責任を担い、実際の学校運営は学区の教育委員会が行っています。学校の運営資金は基本的に州税・地方税で賄われるほか、地元の企業や保護者からも集められます。

潤沢な資金がある地域の学校は、充実した設備やカリキュラムが用意されます。一方、低所得者家庭の多い地域の教育資金不足は深刻です。教員1人あたりの生徒数が多いため、授業についていけない子供が出てきます。資金不足で、体育や音楽ばかりか、理科の授業さえも行えません。薄暗い教室の窓ガラスは破れ、トイレが壊れていて使えない。教育を受ける環境としてはおよそふさわしくない環境です。そうした地区では中学校以上になると、校内での生徒の麻薬や暴力の問題が深刻化して来ます。生徒が授業中子供を預けるための託児所が併設されている高校すらあるのです。

アメリカでは日本と同じ学区制なので、住所により通う学校が決められます。優良学区は不動産価値が上がり、高所得者層が集中します。保護者は学区をより良くするため、そして自分の家の資産価値を上げるために(これが大きい)、学校に多額の寄付金を投下します。お金が集まることでさらに教育内容が充実し、学力が上がり、地域の不動産価値が上がり…こうして優良学区は資金面でも学力面でもますます潤って行くのです。こうした教育格差は「富める者はますます富み」を地で行くアメリカの歪みを象徴しているようで、違和感を感じずにはいられません。



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